2019年採集日記(中)


■ 4月28日(日) 飛騨市神岡町のギフ(パート1)

前夜に降雪があったもよう。
前夜に降雪があったもよう。

 ギフチョウのシーズン真っただ中に6日間マレーシアへ行って帰ってくると、肌感覚での季節感がなくなっていた。でも、通い慣れた神岡町なら大丈夫だろうと思って出かけたが、大丈夫じゃなかった。

 GW10連休の初日の27日(土)は戻り寒波だったので自重して、天気が良くなって寒波も緩む予報の28日(日)に出かけた。それが、エッ?まさかまさか‥。周りの山がやけに白いと思ったら、前の晩にかなりの降雪があったらしい。

伏方のウスバサイシン。
伏方のウスバサイシン。

 この日は新ポイントを開拓するつもりで昨年見つけたカタクリ群落の場所まで来てみたが、夜来の雪のためカタクリの花は全部しぼんでいる。ギフは全く飛ぶ気配はない。

 そこで、季節を確認するために伏方のポイントへ来てみると、予想以上にサイシンはかなり葉を伸ばしていた。この状態だけ見ると、むしろギフは最盛期か最盛期過ぎのような気がする。

 経験的に、発生期を直撃した厳しい戻り寒波というのはロクな目に遭っていない。どうやら悪い時に来てしまったようだ。

[記録]2019年4月28日(日) 同行者 雅恵

岐阜県飛騨市神岡町伏方ほか  ギフ null

 


■ 4月29日(月祝) 飛騨市神岡町のギフ(パート2)

キビタキ ♂
キビタキ ♂

 前日に続いてこの日も朝から低温で、しかも予報が外れて日照がなく、いつまで経っても気温が上がってこない。心なしかキビタキも寒そうで、身体を膨らましているように見える。

 早々に下見に切り替え、以前から気になっていた場所をいくつか見て回った。それにしても、通い慣れているはずの神岡町のサイシン食いでまさか2日連続のnullとは‥。

[記録]2019年4月29日(月祝) 同行者 雅恵

岐阜県飛騨市神岡町西ほか ギフ null

 


■ 5月3日(金祝) 北信地方のギフ(パート1)

 GW10連休の出だしでつまづき、その後は天気が悪くて3日間家でくすぶっていたが、残る4日は完璧に晴れそうなので久々に北信へやってきた。とはいえ、北信はまだほんの出始めの可能性が高いことは覚悟のうえだ。 

 午前9時半。栄村の目的の場所に着いて身支度をしていると、いきなり来た! 新鮮な♂をゲット。何て幸先がいいんだろう。でもこんな時って経験的に、バカ当たりか、それっきりか、たいていどちらかなんだ。

 悪いほうの予感が見事?的中し、かなり探したが追加がない。この場所は以前にも1♂採集したことがあるが、その時も結局1頭だけで食草も見つからなかった。やっぱり流れ弾ってことか‥。 

 でも発生していることが確認できたので、このあと本日の「本命ポイント」へと向かう。が、しかし、本命ポイントは予想通りというか予想以上に残雪が多く、少し歩いただけですぐ撤退した。

激流の向こうにカタクリ群落が‥。
激流の向こうにカタクリ群落が‥。

 結局、朝のポイントへ戻ってしまった。採ったのが流れ弾だったとして、どこから流れてきたのかを地形図をにらみながら考えた結果、下のほうに耕作地記号があるのでその周辺を探すことにする。

 谷の奥に向かって耕作放棄地と思われる荒地が続いている。きっとこの奥にギフの発生地があるに違いない。そう信じて奥へ奥へと歩を進める。

 あと一歩だった。いいところまで行った(と勝手にそう思っている)。目の前にカタクリの群落があって、いかにもギフチョウが頭を突っ込んで吸蜜していそうだった。だが、カタクリ群落と私の間には雪解けの清冽な水が川となり激流となって轟々と流れていた。地形図上ではすぐそこにあるはずの橋は跡形もなく流されて無い。どこかで渡れないものかと右往左往したがどこも渡れそうになかった。残念!

[記録]2019年5月3日(金祝) 同行者 雅恵

長野県下水内郡栄村 ギフ 1♂ 

 


■ 5月4日(土) 北信地方のギフ(パート2)

《 津南町秋成・中深見 》

あまりの残雪に退散。
あまりの残雪に退散。

 2日目のこの日は、県境を超えて新潟県側へ来ていた。昨日の様子だと北信はどこもほんの出始めのようなので、まずは多少は発生が早そうな津南町のグリーンピア津南へ来たのだった。

 当地はずっと以前、中越方面へ通っていた頃に立ち寄った記憶があり、その時はGW前半でやや遅かった。それがどうだ、ポイント付近はGW後半だというのにご覧の有りさま。そそくさと、しっぽを巻いて逃げ帰るしかなかった‥。トホホ。

雪解けの流れに沿ってカンアオイが自生していた。
雪解けの流れに沿ってカンアオイが自生していた。

 グリーンピア津南から元来た道を下ってくると、行きにはあまり気に止めなかったが所々にいい感じの林が残っている。と言っても全体的には広大な耕作地が広がっていて樹林帯はあってもどれもちっぽけだが、足を踏み入れてみると雪解けの流れに沿ってカンアオイがズクズクに生えていた。

 絶対ギフがいると思ったが、朝早すぎる(午前8時半頃)せいか飛ばない。このあと秋山郷へ移動して午後から再び立ち寄ったらやっぱりいた!けど今度は遅すぎた(午後2時すぎ)せいか数は少なかった。 

 

《 秋山郷 》

この道沿いで採れた。
この道沿いで採れた。

 かつて北信に通っていた頃も、秋山郷へはあまり行っていない。雪深いうえに急峻で、時期もポイントも当てるのが難しいと感じていた。

 久々に立ち寄ったがやはり難しかったし、そもそもフライング気味でサッパリだったが、運良く写真の場所で新鮮な♂が1頭だけ得られた。

 それにしてもよく採れたよ。nullでなくてよかった。

 

[記録]2019年5月4日(土) 同行者 雅恵

新潟県中魚沼郡津南町結東 ギフ 1♂ 

新潟県中魚沼郡津南町中深見 ギフ 2♂

 


■ 5月5日(日) 北信地方のギフ(パート3)

電動バイクの雅恵。
電動バイクの雅恵。

 3日目のこの日は、初日に残雪が多くて撤退した「本命ポイント」を再び訪れた。たったの2日でそんなに様子が変わっているはずもないが、連日好天で気温もうなぎのぼりなので今日あたり出始めるのではないかという読みである。

 かなり手前で林道のゲートが閉まっているので、今回この日のために積み込んだグラフィットバイク(折りたたみ式ハイブリットバイク)で雅恵はラッタッタと軽快に走っていく。私の電アシは折りたたんでもデカくて車中泊の時は朝夕の積み下ろしが大変なので、今回は積んでこなかった。だから私は歩くしかない。

 調子に乗って先に行くはいいけど、クマに気を付けろよ。

 残雪はご覧のとおり、多い場所ではまだドバっとあるが少ない場所ではほぼ消えているので、きっとどこかで発生している気がする。

 結果は、予想どおり発生初期で数は少なかったが、あちこちで少しづつ拾い、合計したら2人で9♂全部完品という満足の成果となった。 経験的に北信のギフはボロをつかみやすいと思っていたので、完品率100%は少なからず驚いた。

オープンしたばかりの道の駅「いいやま ぶなの駅」。
オープンしたばかりの道の駅「いいやま ぶなの駅」。

 車中泊3泊目のこの日の夕方、行きに雅恵が見つけた飯山市の国道117号沿いに新しくオープンした「いいやま ぶなの駅」にやって来た。

 行きに通った時に雅恵が「道の駅があったよ」と言うのだが、私は気付かなかったしGoogleマップで調べても出てこない。だから半信半疑だったが、来てみたら確かにそこにあった。

 まだ本当にオーブンしたばかりのようで、トイレもピッカピカ。でも、GWに突貫で間に合わせたのかどうかは知らないけれど、ナビにも載っていないし誰もその存在を知らないので、結局のところガラッガラだった(写真は翌朝6時だが、前日の夕方からほぼこの状態)。

 国道を挟んだ向かい側にかっぱ寿司があるほか、魚民、ガスト、台灣料理店など近くに飲食店がいくつもあるし、道の駅内の食堂もその後、夜間営業を始めたらしい。好立地でギフ採集の車中泊にはもってこいなので、つぶれる惜しいので少し宣伝をしておいた。

 民設道の駅「いいやま ぶなの駅」(外部リンク)

[記録]2019年5月5日(日) 同行者 雅恵

長野県下水内郡栄村 ギフ 3♂(午前1♂、午後2♂)

長野県下高井郡野沢温泉村 ギフ 6♂ (内、雅恵3♂採集)

 


■ 5月6日(月祝) 北信地方のギフ(パート4)

沼の原湿原は雪だらけ。
沼の原湿原は雪だらけ。

 飯山市のすぐ西にそびえる斑尾山は、山頂にギフチョウが上がってくることで知られる。また、付近にはギフとヒメギフの分布境界線Luehdorfia Lineが走ることでも知られている。

 ざっくり山の南側がヒメギフ、北側がギフの分布域ということになるが、北麓はスキー場と斑尾高原で正直かなり乱開発されている。しかし、さらに北へ下って沼の原湿原付近までやって来ると落ち着いたたたずまいで、実際この付近にギフチョウの記録がある。

 と、前置きだけ長くなったが、行ってみるとご覧の有りさま。しっぽを巻いて、とっとと逃げ帰った。

[記録]2019年5月6日(月祝) 同行者 雅恵

新潟県妙高市沼の原湿原ほか ギフ null

 


■ 5月12日(日) 高山市荘川町のギフ

 手洗川周辺の荘川のギフは、私の理解では発生の遅い蛭ヶ野と同じ個体群で、標高などの関係で蛭ヶ野よりかなり早い5月10日から15日頃に発生する。だとすると、今シーズンはこの日で適期と予想してやって来た。

 ところが、荘川ICを降りた直後から嫌な予感がしていた。いつもより季節が進んでいる気がする。実際、牛丸のポイントに着いてみると、いつも必ずいる場所にいない。もぬけの殻か? 

 カンアオイを探してみる。牛丸へはこれまで何度も来ているが、実はまだカンアオイを確認していなかった。探した経験はあるがその時は見つからず、いつも簡単にギフが採れるので放っぽらかしてあった。今回やっと本気で食草を探して、そして多少の努力で見つけることができた。それはスギの植林の中にあり、もし本当にここで発生しているのなら環境的には少しヤバい。スギの成長によって林床が暗くなっているのだ。そのせいか、周囲の季節感と比べてカンアオイの芽吹きはかなり遅れている感じがした。

 カンアオイの状態とは裏腹に、ギフは適期を過ぎている気がしたので、もう少し発生が遅い野々俣へと移動。ここは御手洗川沿いの有名ポイントとは別の、もっと山間のポイントである。

 ポイントに着いて驚いた。ここも何度か来ているが、今までで一番季節が進んでいるような気がする。さらには、ここのほうが牛丸よりも発生は遅いはずなのに、カンアオイの芽吹きはむしろ進んでいた。信じ難いが、周囲の様子からもカンアオイの状態からも、すでに時期を逸している可能性が強かった。半信半疑でしばらく粘ってはみたものの、天気は良いのにギフの飛ぶ気配はなかった。

 こうなりゃ半ばヤケだ。絶対あり得ないと思いつつ六厩へ転戦する。女滝のポイントに着いて再び驚く。絶対まだ早いという予想を裏切って、辺りはすでに発生初期から適期の雰囲気。カンアオイを確認すると、新葉が十分に芽吹いている。しかしギフは現れない。いかんせんすでに時刻は昼過ぎで、いたとしても出払っている時間帯だ。この後、近くの松ノ木峠へも足を延ばしたが、同様にカンアオイは良い感じに新葉を伸ばしていた。どうやらGW後半からの連日の好天、高温のため、予想を超えて加速度的に季節が進んだということらしい。 

 今シーズンはこの後、6月1日から初めてのベトナム行きの予定が入っていたため、少し早いが以上で国内は打ち止めとなってしまった。

牛丸のヒメカンアオイ。
牛丸のヒメカンアオイ。
野々俣のヒメカンアオイ。
野々俣のヒメカンアオイ。

六厩女滝のヒメカンアオイ。
六厩女滝のヒメカンアオイ。
松ノ木峠のヒメカンアオイ。
松ノ木峠のヒメカンアオイ。

[記録]2019年5月12日(日) 同行者 雅恵

岐阜県高山市荘川町牛丸 ギフ null、カンアオイ確認。

岐阜県高山市荘川町野々俣 ギフ null、カンアオイ確認。

岐阜県高山市荘川町六厩女滝 ギフ null、カンアオイ確認。

岐阜県高山市荘川町松ノ木峠 ギフ null、カンアオイ確認。