オオワシ・オジロワシのバードウォッチングは少し残念な結果に終わったが、3泊4日の気楽なバスツアーは楽しいことがいっぱいあった。
阿寒湖氷上フェスティバルでカーリングのマネごとをしてみた。カーリングといっても、ちゃんとしたコートがあるわけではなく、向こうに置いてある1個のストーンめがけて投げるだけ。向こうで立っているおじさんは手にブラシを持ってはいるが、見ているだけでスイープしてくれるわけではない。ストーンはもちろん本物で、1個10万円するらしい。持って逃げるにはかなり重い。
それにしても、初めてにしては我ながら結構サマになっているよね。
「そだねー」って、誰か言ってよ。
阿寒湖温泉の温泉街で見つけた。連れて帰りたかったよ。
後方の一段下がった場所は野付湾、つまり氷結した海。右手はるか後方にケシ粒のように見えるのは、凍った海の上を歩いている人の群れであって、アザラシの群れでもエゾシカの群れでもないので鉄砲で撃ってはいけない。
天気がいいとインスタ映えする絶景スポットなのだそうだが、曇っていると陸も海も空もただただ白いばかりで、何のことだか説明しないと分からない。
ウトロの丘の上に建つホテルに予定より早く着いたので、夕食前に近くの展望台へ夕陽を見に行く。ここ夕陽台からの眺望は知床八景のひとつに数えられるらしいが、残念ながら雲が多くて絶景というほどではなかった。
カメラ片手に次々人がやってくるが、いつまで待っても現れない夕焼けにみんな退屈してしまう。そんな誰かが退屈しのぎにこさえていった雪だるまが絶好の被写体に。
平凡な景色と思っていたが、思いっきりズームで撮った沖の流氷の写真をあとで見てみると、不思議な美しさがそこにあった。
オシンコシンの滝も知床八景の一つで、国道沿いにあるため観光客が大勢やって来る。駐車場から滝までは階段で20mほど登るだけだが、このときは階段がアイスバーンになっていて、ここまで登ってくる命知らずの愚か者は我々のほかほぼいなかった。
下りはカメラの三脚を杖がわりに、恐る恐るへっぴり腰で下った。というか、写真に収まっているこの時点ですでに私はへっぴり腰で、卑怯にも雅恵につかまろうとしている。
知床自然遺産センターでオオワシの実物大のぬいぐるみと。雅恵のリーチだと翼を広げきれない。
それにしても、こういうの好きだねえ。
ホントに好きだねえ。
「・・・。」
知床の海岸線は岩場ばかりだが、網走まで来ると砂浜がある。砂浜だと海が荒れると流氷が砂浜に打ち上げられ、打ち上げられた流氷は荒波にもまれ、荒波は砂を巻き上げてご覧のとおり。美しいものはいつまでも美しいとは限らない。
こちらは網走市の郊外、天都山の山頂にあるオホーツク流氷館。ここの売店でしか買えないという「流氷ソフトクリーム」は、濃厚キャラメル風味にオホーツクの碧い岩塩のトッピングのオリジナリティ豊かな逸品。イタリアで開催された国際大会で優勝経験を持つお店がつくっているというからさぞかし有名で大きな店かと思いきや、国道39号線沿いの店は実に愛らしいほどちっぽけな構えだった。
ちなみに雅恵的にはこちら「白い恋人ソフトクリーム」のほうが好みなんだとか。
オジサン的にはこちらのほうがいいねえ。
女満別空港から少し網走寄りの国道39号線沿いに、その丘はある。黒澤明監督の映画のロケ地になって以来、有名になったとか。バスガイドさんに「ここです!」と言われて夢中でシャッターを切ったが、何がメルヘンなのかは私に聞かないでください。
北海道固有のコンビニ「セイコーマート」で、北海道特産のパン2種類をゲット。北海道へ来たなら、これだけは食べておかねば‥。
「あんパン」だってあるんだから「ようかん」をパンに塗っても別に文句はないが、うっかり気づかずにチョコレートがコーティングしてあると思い込んで食べるとギャッと吐き出しそう。
それにしても「ちくわパン」はマヌケすぎると思ったが、これを食べた雅恵曰く、
「ソーセージよりもクセがなくて食べやすいかも」とのこと。
あっさり言われると突っ込む気力がなくなる。
平昌オリンピックのカーリング女子がハーフタイムにイチゴなどをほおばる様子が「もぐもぐタイム」と呼ばれて話題となったが、この呼び名は旭山動物園のエサやりタイムが元祖らしい。
ということで、旭山でゴマフアザラシのもぐもぐタイムを待っていたら、飼育係のおねえさんがチラッと様子を見に来たものだからさあ大変。待ちきれないアザラシたちが、モグラたたきのモグラよろしく代わる代わる顔を出す。そわそわしながら、まだかまだかと首を長くして待っている様子が愛らしい。もぐもぐタイム本番よりも、本番前の方が面白かった。
帰るころになって吹雪いてきた。思えば旅行中の4日間天気はまずまずで、この時期の北海道としてはかなり暖かかった。
前後が荒天で滞在中だけ穏やかな天気だったってことは、やっぱり日ごろの心がけがいいんだよ。ハイ、ハイ、雅恵の心がけがね。
2日目の午前、雪道を足早に歩く雅恵の後を追っていたときのこと。右足の靴に違和感を覚えて、見るとソールがかかとの部分からべろーんと大きく剥がれている。これは面倒なことになった。残り2日半、この靴を履かなければならない。
さらにそのあと、信じがたいことが起きた。雅恵の靴もつま先からソールが剥がれてきたのだ。いったい、そろいもそろってなんていう夫婦だ。ツアー参加者への注意事項に、履き慣れた靴を履いてこいとは書いてあったが、履き古した靴を履いてこいとは書いてなかったはずだ。
コンビニかホームセンターでボンドを買って修理したいが、こういうときツアーだと自由がきかない。添乗員さんに相談したところ、コンビニのあるような場所へは行かないし今夜のホテルは近くにコンビニもないという。でもホテルにボンドぐらいあるだろうから借りてあげる、という話になった。
夕方、ホテルの部屋へスタッフのおじさんがボンドを持ってきてくれて、靴を見るなり我が事のように心配してくれた。ボンドで貼っただけでは残り2日間もたないかもしれないから、針金で留めて修理してあげるという。
という訳で、しっかり修理していただいたお陰でその後トラブルもなく無事に名古屋まで帰り着くことができた。残りの2日間、思った以上に雪道をたくさん歩いたけれど、何の心配もなく楽しく旅を続けることができた。私などは靴が壊れていることを正直忘れていた。
知床プリンスホテル風なみ季のスタッフのおじさん、本当にありがとうございました。
ところで私はこれまで、バスツアーというものをほとんど利用したことがなかった。多分、初めて利用したのが一昨年のニュージーランド。今回が2回目となる。
ハネムーン アゲイン ー28年ぶりのニュージーランド(内部リンク)
利用してみて気づいたバスツアーのメリットは、1つには、個人旅行ではなかなか知ることのできない現地の生の情報をツアーガイドから聞けること。2つには、移動のバスの中でビールが飲めること。セルフドライブではそうはいかない。
1つ目のメリットは、ガイドの良し悪しに負うところが大きいのだろうけれど、その点今回のガイドさんは素晴らしかった。知ったかぶりしてこの記事の中で書いていることの多くが、ガイドさんから教わったことがベースになっている。
阪急交通社の現地添乗員の岡田さん(おじさん)、網走バスのガイドの国分さん(おねえさん)、またどこかでお会いしたいです。本当にありがとうございました。
(おわり)