ホシミスジは本来は山地性の蝶である。主な食草であるシモツケが山地に自生するためだ。
そのホシミスジが、名古屋市名東区の牧野ヶ池緑地で採れているというぶっ飛び情報に腰を抜かしそうに驚いたのは、もう10年も前の事だったろうか。ある程度の数が採れていて、どこからか飛び火したものが定着したらしい…と。調べてみると、植栽のユキヤナギやコデマリをホストに、東京やその周辺などこれまで記録がなかったあちこちで同様に発生していると知った。
でも、どうして今さら? ユキヤナギやコデマリなんて昭和の昔から民家の庭や公園に普通に植えられていたのに、どうして今ごろになって分布を拡大するようになったのか。
思うに昭和の時代にユキヤナギを庭に植えたいと思った人は、ご近所に頼んで株分けしてもらったに違いない。コデマリなら枝をチョキチョキ切らせてもらって挿し木したに違いない。
それが今では、近所の公園でユキヤナギの株を掘り返していたら警察に通報されそうなので、植えたければホームセンターで苗木を買ってくる。あるいはインターネットで取り寄せる。
現代社会においては、身近にある平凡な花や木をわざわざ遠方からトラックで運んで植えるという、宇宙人が聞いたらヘドを吐きそうなくらい不合理な社会構造が成立している。かくして苗木に付いているホシミスジの卵や幼虫が全国各地に拡散されるようになった。

前置きが長くなったが( ←長すぎっ!)、6月7日(土曜)の昼前、庭仕事をしている私の背後を何かがスーッと飛んだ。
今のはもしや、もしかして…。
慌てて家の中へデジカメを取りに行って戻ってくるが、姿なし。でもよく見ると隣家の庭を飛んでいた。
しばらく待つと戻ってきて、隣家との境界に生えている地上2m余りのアカメガシワの葉上で一瞬、ポーズ!

ほんの数秒間のシャッターチャンスに3枚撮っただけだが、珍しくちゃんとピントが合っていた。
ちなみにわが家の庭にユキヤナギもコデマリもない。隣家にはちっぽけなユキヤナギが2本あるが、これで発生したかどうかは不明。
実は3年前の2022年6月4日(土曜)、わが家から距離にして500m足らずの近所の住宅地でホシミスジを目撃し、いよいよここまで来たかと思った。
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