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人はなぜ、愛するわが子を虐待するのか

~児童虐待が繰り返される本当の原因を探る~


表紙カバー
表紙カバー

「子育ては親の責任」

 現代社会に共通の価値観、いわば常識である。そして誰ひとりとして、この常識を疑おうともしない。

 しかし、長い長い人間の歴史を振り返っても、親が親だけの責任で子育てをしてきたことなど、ただの一度もありはしない。人間は太古の昔から、みんなで力を合わせて集団で子育てをしてきたのだ。

 

 児童虐待が深刻になった原因を、人間の進化と社会の発展の歴史をたどって順にひも解けば、「子育ては親の責任」という「常識」が、歴史的には少しも常識でないことに気付く。

 

 人間の子どもは、親が独りで育てられるほど生やさしい生き物ではないかもしれない…。

著者 大岡啓二(元名古屋市 児童虐待対策室 主査)

カバーイラスト ふかいあずさ

並製 四六版 176ページ

発行 みらいパブリッシング

定価 1,430円(税込)

 


<「はじめに」より >

 私たち人間は、自分自身のことなのに、あまりにも知らない。

―― 進化の歴史の中で宿命的に負うこととなった、人間だけにまつわる出産の秘密と困難のことを。その困難を少しでも回避しようとして背負い込んだ、生き物としての人間の子育ての致命的なハンディについて。

 私たち人間は、自分自身のことなのに、あまりにも分かっていない。

―― そのハンディを、みんなで力を合わせて乗り越えてきた、人間社会の知恵について。そして、太古の昔から受け継がれてきたその知恵を、現代社会が失ってしまったことを……。 


< 著者プロフィール >

1960年、名古屋市に生まれる。

名古屋市役所入庁。平成18年度に新設された子ども青少年局にて、

・子ども医療費助成制度の所得制限の撤廃と対象年齢の拡大

・放課後子どもプランの制度創設時の立ち上げ

・子育て支援企業認定表彰制度の創設

・子育て家庭優待カード「ぴよか」の創設

・名古屋市子育て応援サイトの制作・立ち上げ

・地域の子育て家庭への支援と保育の質の向上に取り組む「エリア支援保育所」の創設

などにたずさわる。

平成23年に名古屋市内で起きた児童虐待死亡事件を契機に設置された児童虐待対策室に、平成27年度から主査として着任。児童相談所が、少しでも子どもの危険を感じたら「躊躇なく親から引き離す」という方針を取らざるをえない現状と、そこにまつわる多くの理不尽や矛盾に愕然とする。

56歳で早期退職。退職後、在職中にやり残した児童虐待の根本原因の解明というテーマに挑戦するため、本書の執筆に取り組む。

趣味は蝶の採集・研究。35歳の時にタイ北部で発見した新種の蝶に妻の名前を付ける。

名古屋大学経済学部卒業。 

 

< 目 次 >

はじめに

序章 わが子を虐待する親があとを絶たないのはなぜか

増加の一途をたどる児童虐待

児童虐待の一般化

リスク要因という考え方

人類学的視点からのアプローチ

第1章 児童虐待のルーツを求めて ―人類発祥と進化の歴史をたどる―

直立二足歩行の獲得

人間の進化の矛盾

人間の悲劇、その始まり

児童虐待のルーツ

動物の子どもは、なぜ可愛いか

天使か、それとも悪魔の遣いか

第一反抗期(イヤイヤ期)とは

人間の悲劇、第2章

母性本能とは何か

第2章 原始時代の子育て

社会的動物

原始共産制社会

縦の絆と横の絆

原始時代の子育て

原始共同体から村落共同体へ

人間社会の宿命的ジレンマ

第3章 核家族化の進行と地域社会の変容

核家族化の初期段階

核家族化の進行と地域コミュニティの消滅

人類史上、初めての挑戦

悪いのは核家族か

児童虐待の顕在化

「子育ては親の責任」というドグマ

「子育ては親の責任」とは、いつ誰が決めたのか

子育てと子どもの教育

学級崩壊という義務教育制度の危機

家庭の子育て力と社会の子育て力

「189(いちはやく)」という監視社会

国のミスリード

少子化に歯止めがかからないのはなぜか

第4章 現代子育て事情 ―その問題点を探る―

「しつけ」とは何か

「社会性を身につける」とは 

親の価値観の押し付け

箱入り娘・箱入り息子

ある日の若い母親の会話から

親から子へ、体験不足の連鎖

過干渉の親、子離れできない親

反抗期、その正体

親はなくても子は育つ

最後に

子育てシェアハウスのこと