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コロナ第9波は来るのか。それとも終息へ向かうのか。~専門家にはできない大胆予想~


中日新聞の記事
中日新聞の記事

 3月10日(金曜日)の中日新聞の朝刊1面トップに、「コロナ収束傾向、今後は」の見出しで大きく記事が載った。3月13日からの「マスク自由化」を見すえ、関連の3つの記事と合わせて特集を組んだ形だ。果たしてコロナはこのまま終息に向かうのか、それとも第9波がやって来るのか、記事は専門家の「第9波は絶対来る。耐えられるように備えておかないといけない」という見解を紹介して結んでいる。

 本当だろうか。これまでも、コロナに関して専門家の予想は当たってきたとは言い難い。それどころか、最初の緊急事態宣言が出た2020年4月頃には、専門家と称する人の中には「これから夏に向かって気温が上がれば終息に向かう」と予想していた人が少なからずいた。COVID-19はまさしく「新型」であって、インフルエンザウイルスと同様の性質を持つかどうか誰も知らないというのに、こういう珍説をメディアで堂々と吹聴する「専門家」が実際ゴロゴロいた。当時すでに熱帯のシンガポールでクラスターの発生が報じられていたにもかかわらず、である。

 そこで、ずぶの素人が伝家の宝刀「素人の直感」により、今後のコロナの動向を大胆に予想する。当たるかどうかはともかく、一部のおバカ専門家よりよほど説得力があると自負しているし、大多数の良識ある専門家が立場上言いにくいことを、わかりやすく一刀両断にしてみせる。

 

【予想】今後、新たな変異株が発生しない限り、コロナはこのまま終息に向かう。第9波は仮に発生したとしても深刻な事態にはならない。

 

Yahoo!ニュースより(一部修正あり)。
Yahoo!ニュースより(一部修正あり)。

【根拠1】コロナはすでに弱毒化している。

 国内の新規感染者数と死亡者数のグラフを見ると、第8波で不思議な現象が起きていることに気づく。第7波までは常に新規感染者数の爆発的増加が先行して起き、ピークアウトしたころに時間差で死亡者数が増えた。ところが第8波では明らかにそれまでと傾向が変わり、感染爆発は起こらず、感染者の増加が比較的緩やかに進んで、これと並行して死亡者数も増えているように見える。これは何を意味するのか。

 答えは明白で、感染者の潜在化が起きている

 コロナの弱毒化が進んで無症状の人が圧倒的に増えたため、感染しても気づかないのだ。あるいは、軽い風邪ぐらいの症状なので売薬で済ませて医者にかからない。もしこのグラフの新規感染者数が実態を正確に表しているのなら、第7波と比べて第8波では死亡率が著しく上昇したことになる。でも実際にはそんな恐ろしい事実は知られていない。

  「コロナはすでに弱毒化している」という明白な事実について、専門家は何に忖度しているのか声高に言おうとしない。「王様の耳はロバの耳」である。

 ちなみに、一般に新型ウイルスは、変異と流行を繰り返しながら次第に弱毒化していく。この場合、弱毒化は感染力の低下を意味しない。むしろ逆である。感染力を高めながら弱毒化していくのだ。変異の繰り返しというのは生物にとっての進化の過程であり、ウイルスが感染力を高めるのは進化している証拠である。この進化の過程で仮に強毒化すると宿主が死に絶え、それはウイルスにとっても死滅を意味する。だから逆に弱毒化することでウイルスは生き残ろうとするのだ。

 

【根拠2】すでに集団免疫が獲得されたと考えられる。

 コロナの感染力が高まっているのなら、なぜ感染者数が減っているのか。それはとりもなおさず、免疫を持っている人が増えたからだ。ワクチン接種が進んだことに加え、知らぬ間に感染した人を含めて大多数の人が免疫を獲得した。だから感染者が減っている。

 ただし、免疫は時間の経過とともに次第に弱まる。すると再び感染するが、急に免疫が消えることはないので感染爆発は起こらない。第8波がそのことをすでに証明している。

◇ ◇ ◇

 以上のように思い至るまでに、象徴的な2つの出来事があった。

【出来事その1】

 昨年9月にベトナムへ渡航する際の情報収集で、知り合いから次のような話を聞いた。この人は30年も前からベトナムに通っており、年に10回も行っているというほどのバリバリの現地事情通である。

「ベトナムは日本ほど地域医療が発達していないので、現地の人は多少の風邪ぐらいなら売薬で済ませ、滅多に医者にはかからないです」

 ベトナムでは、昨年4月頃から統計上コロナは収束に向かっている。日本ほど衛生事情も良くなくマスクの着用も徹底していない国で、なぜそんなに早く収束に向かったのかを考えるうえで、先の言葉は示唆に富んでいる。

 

【出来事その2】

 昨年末、私の高齢の母が愛知医大の脳神経外科に緊急入院した際に、PCR検査でまさかのコロナ陽性となった。これより1か月余り前には私と一緒に5回目のワクチン接種を受けていた。そのうえ最近は歩行障害のためほとんど外出していない母がコロナ陽性とは、まさに青天のへきれきだった(家族は全員陰性だったので、前日に利用したデイサービスで拾ってきたとしか思えない)。

 母はコロナは無症状だった。退院後の外来検査での主治医の言葉が、これまた示唆に富んでいる。

「年末は本当に申し訳ありませんでした。あの頃は入院される方が次々コロナ陽性で、PCR検査なんかするばっかりにあんな個室に閉じ込めて、ご不便をおかけしました」

 コロナ陽性で迷惑をかけたのは当方で、詫びられる覚えなど全くなく恐縮した。でも仮に主治医の言葉を額面通りに受け止めれば、その時点ですでにコロナはそれほどまでに感染力は強く、一方で弱毒化が進んでいたということだ。

 

 以上、もしかすると「早くコロナに終息してほしいバイアス」がかかっているかもしれない。一方で私自身、本日の自由化以降もマスクは当分着用する。なぜなら弱毒化は無毒化とは違うからだ。

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コメント: 2
  • #1

    みどり 川野 (木曜日, 16 3月 2023 18:40)

    いい考察ですね。同感です��

  • #2

    永遠の昆虫少年(サイト管理者) (金曜日, 17 3月 2023 21:53)

    そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます。