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アリの危機管理能力

 長年使って朽ち果てそうになっていた庭の物干し台が、少し前の台風で遂に事切れた。やっと新しいのを購入して取替えようとコンクリートの台座を移動させたところ、下にアリの巣があった。

 よく見ると無数の卵がそこにあって、アリたちは突然降って湧いた災厄に大騒ぎ。可愛そうなことをしたが、どうしようもないので放っておこうと思いつつ、日がまともに当たっているのでせめてダンボールで覆ってやろうと思い立って家の中へダンボールを取りにいった。

 戻ってきてビックリ! あんなにたくさんあった卵が、わずか1-2分で跡形もなくなっていた。 

ビフォア
ビフォア
アフター(ほんの1-2分後)
アフター(ほんの1-2分後)

 写真で、白い糸状のものは周りに植栽してあるヒメイワダレソウの根っ子。白くて細かい粒状のものがアリの卵。ほんの1-2分の間に、みんなで巣の奥へと運んだに違いない。全く予期せぬ突然の出来事に、瞬時に対応できるアリの危機管理能力とチームワークには全く舌を巻く。 

 脊椎動物の中でも最も高度に社会性を進化させたはずの人間は、自らつくりあげた人間社会を自力で十分コントロールできず、人間自身が次々に生み出すいろいろな社会問題を解決できずにあえぎ苦しんでいる。

 一方、節足動物の中で進化の頂点に立つ昆虫の中でも最も社会性を進化させたアリは、見事なまでの統率力を見せつけて、世界中のあちこちで多種多様な環境に適応して繁栄している。

 以前このブログの中で、「人間がどんなに反論しようとも、人間がしていることは『アリとキリギリス』 の『キリギリス』そのものである」と書いたことがある。

 ESDって、なに?(内部リンク)

 今、あらためて思う。やっぱり人間はキリギリスだ。小さなアリの足元にも及ばない。