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半世紀ぶりのカトリヤンマ


 9月4日(月曜)の夕方、名古屋市中小企業振興会館(吹上ホール)の非常階段の踊り場にトンボが落ちているのを拾った。どこからか迷い込んだらしくかなり弱っていたが、生きていたので写真を撮って外へ放した。子どものころに見覚えのある小型のヤンマで、ネットで調べてみるとカトリヤンマの♀でほぼ間違いないと確認できた。 

カトリヤンマ ♀(背面)
カトリヤンマ ♀(背面)
同(側面)
同(側面)

 やや暗いのでわかりにくいが、複眼は緑色である。横から見るとギンヤンマに似るが、一回りかそれ以上小さい。

 永遠の昆虫少年を自称する私が本当の昆虫少年だった半世紀前、自宅付近(名古屋市千種区)で本種はコシボソヤンマとともに普通に見られた。夜間に家の中に紛れ込んできて蛍光灯に体当たりしたり、天井を飛び回ったりすることが時々あった。近所の寺には小さな庭池があり、赤トンボをはじめいろいろなトンボの格好の棲み家となっていた。今では寺の境内はきれいに整備され、ボウフラが沸くので池はとっくに埋め立てられてしまった。

 カトリヤンマは全国的に減少が著しいらしい。いったいどこから飛んできたのか、今どき名古屋市の中心部で見つかるのは珍しいのかもしれない。

 半世紀ぶりに私の手に触れたカトリヤンマの感触は、いかにも弱々しかった。